記録簿

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■練習
 工場街の中、相模線の線路脇に直線路がある。平日は割とトラックなどが通るのだが、
土日になると人・車の通りも少なく、良い練習場所となる。友人Tが持ってきてくれた
ドリームに乗ってみる。いよいよ初乗りである。いったん止めたエンジンを始動…掛からない
結構気むずかしいモノだなぁと感じながらも、5分ほどかかってやっと始動。なかなか難しい
モノである。ギア付きの単車に乗るのは10年ぶりくらいなので、おっかなびっくり発進。
エンスト。かなりトルクが細く、クラッチ操作が重要な感じ、その後数回は発進とエンストを
繰り返す羽目になった。とにかく油断するとエンスト。2速以降は問題ないのだが、
発進での半クラが難しい。夕闇も迫ってきたところで、その日は切り上げる事にした。
 その後はしばらく、仕事場の庭や夜中の工業団地を走り回り、2週間で給油を2回する程度の
練習をした。市内のある程度の範囲は行けるようになり、今思えば慢心していたのだろう。
それは暮れも押し迫った休日の午後だった。


■納車
 納車の日。本当は次の日だったはずが色々な予定外が加わり、前日の土曜になる。
憧れだったドリームが自分のモノになるわけで、それなりに興奮があるものだ。
バイクは車と違い(お互い例外はあるが)メカ部分が全てむき出しに見える。そこに工芸品的な
美しさが見える気がする。本当に格好良く綺麗な物だなと思えた。
エンジンを始動してみる。エンジン音は2ストと違い軽やかな感じがしたが、決して安っぽくは
ない。強いて言えばカブの音だが、それとはまた違った良い感じだ。
いつまでも見ていたいが、持ち帰らねば自分の物になるわけではないので、払いを済ませ、
友人Tに練習できる所まで引き上げを頼んだ。
 いざ移動をしようとした時、いったん切ったエンジンが掛からない。始動性はあまり
良くなく、しかも暖気は念入りに、繋ぎは丁寧にという基本と言えば基本だが、非常に繊細な
作りであるようだ。ともかくバイクは友人Tに任せ、自分はロードスターで練習場所に向かった。


■入荷
 唐突な電話だった。なにせ長期戦を覚悟していただけに気が抜けた様な感じもした。
仕事もそこそこにバイク屋に向かい、モノを見せて貰う。第一印象はタンクの長さだ。
実はベンリィの亜種位に想像していたが完全な別物。60年代レーサーがそこにあった。
それにしても新車と見まごうばかりの美品である。走行8000キロ強なのだが、とにかく
驚くばかりのキレイさである。実質練習用になる事を考えていたのだが、コレはある意味
キツい感じがする。なにせ一回目のコケた時のショックが大きそうだ(笑)
その日は納車時期の確認等をして、家に帰った。とにかくモノは決まったわけである。


■注文
 8月にロードスターを壊し、アシが無くなってしまった時、緊急用に原付を貰ったのは9月。
コレには弟も乗る為、もう一台買おうと言うことになった。頼むのは当然ドリーム50である。
友人Tに紹介して貰ったバイクショップにてドリ−ムを注文するが、時間掛かるということ。
全面的にお任せする。…が、本当に来ない。もちろん市場にはあることはあるのだが、モノに
対して値段が見合わないという。11月を迎えこちらとしては時期的にシーズンも終わりなので、
春まで気長に待つと伝えた。長期戦かと緊張の緩んだ12月初旬、突然入荷の連絡が来た。


■ドリーム50買う
 ドリーム50が出た当時、ハタチそこそこだったと思う。そのデザインに惚れ込んだ。
実際欲しいと思ったし購入も考えたが、その当時の自分の状況がそれを許さなかったのだ。
確かに高かった(当時33万位だと)しね。年月が経ち、友人にKSRを買わせようと企んでた時、
不意にその友人に「じゃあお前はなぜ買わない?」と言われた時、ふと、思い出した。

…そうだドリーム50が欲しい。

手に入れようとしたきっかけはホントに大したことのないモノなのだった。でも、今はこのバイクに
夢中な自分が確かに居るのである。





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